地縁団体・認可地縁団体とは

 

 「法人化すれば町内会名義で土地や建物を登記できる」という話を小耳に挟んで、少しインターネット等で調べてみるとよく出てくるのが「地縁団体」、「認可地縁団体」という言葉。ちょっと聞き慣れない言葉ですが、どういう意味でしょうか。

 

 

◆地縁団体◆

 

 地縁団体とは、地方自治法第260条の2第1項で「町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体」と定義されていて、つまり一定の地域(土地)とそこに住む人の縁に基づいて作られた団体のことを言います。

 ということは、一般的に町内会とか自治会と呼ばれる団体が地縁団体であるという理解で問題ありません。呼称については、他にも町会、区、区会、部落会など様々なものがあるようです。

 こうした地縁団体は、人の集まりであるにもかかわらず法人格を持たず、また団体の構成員個人個人の人格とは別であるために、「権利能力なき社団(人格のない社団・任意団体)」と呼ばれるものとされてきました。

 

 

◆権利能力なき社団◆

 

 権利能力とは、法律上の権利・義務の主体となるための資格のことですので、法人格を持たない団体は法の建前上は団体名義の取引は一切できないということになります。しかし、実際は団体内部で会費の徴収をし、外部との取引により物品を購入したりするでしょう。そこで、社団としての一定以上の体裁が整っている団体を「権利能力なき社団」として扱い、団体財産を構成員の総有(共有の一種)とし、団体の名義で活動することが認められています。

 しかし、権利能力なき社団はあくまで権利能力を持たないため、不動産の登記や金融機関の口座開設など重要な手続き・取引については、団体名義ではすることができません。ここで、集会所などを保有する、あるいは新たに保有したい地縁団体としては、土地や建物の不動産登記をする時に、団体名義ですることができずに困ってしまいます。

 従来は、構成員全員や役員の共有という形で登記をしましたが、収集する書類が多くなるなど不便でした。また、団体の代表者個人の名義で登記するという方法も採られてきましたが、これも一般的な地縁団体では1~2年で交代するため、その都度登記をする必要があり、登録免許税の負担も大きく不都合でした。さらに、町内会長などの代表者とは切り離して構成員の一人を定めて登記する方法もありますが、長年登記をそのままにしておくとその方が亡くなった時に相続財産に紛れ込んでしまいトラブルになるケースもありました。

 そこで、平成3年の地方自治法の改正により、認可地縁団体という制度が創設されました(地方自治法第260条の2から)。

 

◆認可地縁団体◆

 

 ここで認可地縁団体とは、地縁団体のうち一定の要件を充たす団体について、市町村長への申請により認可を受け、これにより法人となった地縁団体のことを言います。

 認可地縁団体は法人格を持つため、定めた規約の範囲内で権利能力を持ち、その活動のために必要な資産について団体名義の登記・登録ができることになります。逆に言えば、登記・登録を要する資産を保有する目的を持たない地縁団体については認可されません。

 金融機関の口座を団体名義(従来は「団体名+代表者(または会計担当役員)名」ですることが一般的。)でできるかについては、各金融機関により取扱いが異なるかと思われます。認可地縁団体であれば法人格を持つため団体名のみの口座を開設できてもよいと思われますが、認可地縁団体という制度についてまだ理解・認識が進んでいないこともあり、団体名義の口座にすることを拒否されることもあるかもしれません。その場合は従来通りの方法で口座を維持するか、自治体が発行する認可地縁団体台帳や設立総会の議事録などを持参して団体名義の口座にできるよう交渉することになります。

 

☆★法人化によって登記・登録できる資産★☆

①土地・建物に関する権利(所有権、地上権、抵当権、賃借権など)

②立木の所有権、抵当権

③登録を要する金融資産(国債、地方債、社債)