認可の要件

 

 どんな団体でも認可地縁団体として法人になれるわけではありません。認可されるためには①対象となる団体(形式的要件)、②実質的要件のすべてを充たさなければなりません。

 また、下記の要件は認可のための要件であると同時に、認可地縁団体を維持するための要件でもあるため、法人化後に適切な団体の運営ができなくなっていることが明らかになったときは、認可を取り消されることもあるのでご注意ください。

 要件を充たしているかについては、行政の窓口(市区町村役場※)か、行政書士事務所へご相談ください。

※藤枝市(協働政策課・東館4階)、焼津市(総務部総務課・本館4階)、島田市(市民協働課ー自治推進担当・本館1階)

 

 

 

◆対象となる団体(形式的要件)◆

 

 まず、認可地縁団体として法人を設立するためには、その団体が地縁団体といえることが必要です。地縁団体についての詳しい説明はこちらをご覧ください。

 地縁団体とは、簡単に言えば一般的に町内会、自治会などと呼ばれる団体のことを指します。一般的な町内会や自治会の特色は、概ね下記のようなものになるでしょう。

①団体の区域が確定している。(例:藤枝市藤岡、藤枝市藤岡2丁目など)

②その団体の区域内に住所を有する住民のすべてが構成員になるための資格を持つ。

③特定の活動ではなく、清掃、花木の管理、防災訓練、慶弔、運動会、お祭り、広報誌等の回覧、その他様々な活動を行う。

 

 したがって、市内で希望者・賛同者を募って普通の町内会活動を企画・運営するような団体は①を充たすとは言えないため対象となりません。

 また、区域が確定していても、婦人会、老人会など「区域内の女性」、「区域内の〇〇歳以上の者」といった性別や年齢を資格とする団体は、単独では認可の対象となりません。ただし、町内会などの団体の中に婦人部、青年部、老人部などの部会を置いたうえで、町内会全体としてであれば対象となります。

 さらに、区域が確定していて、区域内のすべての住民が加入資格を持つとしても、スポーツクラブ、農産物の生産組合など、活動内容が限定的に過ぎる団体は③を充たさず対象となりません。

 

 

◆実質的要件◆

 

 次に実質的要件です。形式的要件で述べた地縁団体の特色と若干重なりますが、もう一度おさらいしておきましょう。

 

①その区域の住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理など、良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を、行うことを目的とし、現にその活動を行っていると認められること。

 前述の③の特色とほぼ同内容ですね。活動内容が限定的であってもダメですし、広範であっても「良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動」と言えるものでなくてもダメです。

 また、「現にその活動を行っていると認められること」という要件がありますので、新しく創設したばかりの団体にはそうした活動実績がないため認可は受けられません。こちらの要件については概ね2年程度の活動実績を証明することで認可が受けられるようになります。

 そして、詳しくはこちらのページで説明しますが、主に市街地から離れた団地で下水道が整備されていない地域には、団地住民のための共同浄化槽を設け、汚水を一括処理しているところがあります。この共同浄化槽の管理組合については、ケースによっては若干緩めに①の要件を判定することもありますので、行政の窓口や行政書士事務所に相談してみるとよいでしょう。

 

②その区域が、住民にとって客観的に明らかなものとして定められていること。

 前述の①の特色と同じです。認可申請の際に必要な添付書類のうち、規約において確定した区域を地番によって明示することが必要です。

 

③その区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員になっていること。

 前述の②の特色とほぼ同内容です。確定された区域内の住民のすべてが構成員になる資格(団体に加入する資格)を持つことが必要です。性別や年齢を資格とすることができないことは既に述べましたが、重大な迷惑行為を繰り返す、区域外の住民であるなど正当な理由がないにもかかわらず、加入を希望する人に対して思想や支持政党などを理由に加入を拒むようなこともできません。

 また、「その相当数の者が現に構成員になっていること」の要件については、区域内の総人口の半数以上の住民が加入していることが基準となります。

 

④規約を定めていること。

 従来の地縁団体であっても、団体の規約や細則を定めていることが多いと思います。ただし、認可を受けるためには最低限定めなければいけない重要事項(※)もありますし、認可地縁団体独特な地方自治法の要請もあるため、既存の規約をそのまま使えるケースはほとんどないでしょう。

 行政の窓口でモデル規約を配布していますので、それを読んでみることが規約作成のための理解の第一歩となります。当事務所に依頼される場合には、従来の団体の運営方法などをヒアリングし、モデル規約に落とし込むという作業をしております。作成した規約を窓口に提出すると、条文間に矛盾がないか、使用されている語句は適切かなど、かなり細かい部分までチェックされますので、モデル規約をベースに独自の規約を作るという作業は規約作りに慣れている方でなければ難しいかもしれません。少なくともこのあたりは行政書士事務所に相談された方がよいと思います。

※目的、名称、区域、事務所の所在地、構成員の資格に関する事項、代表者に関する事項、会議に関する事項、資産に関する事項。

 

⑤不動産など登記・登録を要する資産を実質的に保有している(※)または保有する予定であること。

 そもそも認可地縁団体の制度が創設された目的は、法人格を取得し、地縁団体が保有する資産を個人名義ではなく団体名義で登記・登録できるようにし、従来の不都合を克服するというものでした。そのため、該当する資産を持たず、また近い将来に持つ予定もない団体は認可されません。

※「実質的に保有している」とは、団体の代表者など構成員の個人名義(共有名義含む)で不動産等を登記している場合です。